2013年 08月 28日
カット打法の是非 |
夏の甲子園で一躍時の人となってしまった花巻東の千葉君。
あんまり大勢の大人が,地方の一高校生の善悪を議論するのはどうかと思い(肯定しようが否定しようが結局騒動を大きくしている点では同じだからね)当ブログでも敢えて触れないでおこうと思っていました。
でも,喧噪が大きくなるにつれ「それって論点がおかしくね?」と思える事が増えてきたので,少し考えを纏めてみようと思います。
まず問題になっている高校野球特別規則について
17.バントの定義
バントとは、バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルにするような、いわゆる“カット打法”は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある。
(規則6.05(d))
次に一連の流れをおさらいしておくと(私の知りうる限りの情報に基づいて)
Ⅰ.準々決勝の鳴門-花巻東戦のあと,高野連が花巻東側に「千葉君の打法が規則に反する恐れがある」旨の確認をした
Ⅱ.花巻東の監督及び部長はこの規則について知らなかった
Ⅲ.高野連は次戦以降で「審判団の判断如何でスリーバント失敗と同じ扱いになる可能性がある」と説明した
Ⅳ.準決勝の延岡学園戦で千葉君はそれまでとは異なり,淡泊な凡退を繰り返した
Ⅴ.試合後千葉君は「最後まで自分の野球を貫けなかった。ファールで粘って出塁することが自分の役割だったのに…」と号泣
同じ鳴門戦で発覚したサイン盗みの疑いも相まって,千葉君の個人攻撃のような様相が強まってしまったのは,気の毒だったと思います。
これに対し千葉君擁護派の主な言い分は,カットは誰にでも出来る技術じゃないとか,千葉君は身体が小さいハンデを乗り越えて頑張ってきたのに…等が目につきます。
でもですよ,ここで問題になっているのは「あの打法が規則に則しているかどうか」であって,技術の巧拙や努力の程度の問題では無いはずです。
努力の程度にしたって,甲子園に出てきて勝ち進んでいくようなチームの選手たちはみんな努力してますよ。千葉君だけが特別ではないと思います。それをどういう形で発揮するかの違いはありますが。
まして「彼は身体が小さいから人一倍努力しているんだろう」という先入観があるとすれば,それは立派な逆差別だと思いますけどね。
本来議論するべきは,「じゃあ正当なスイングかどうかはどういう基準で判断するのか」「何のために規則が存在するのか」といった点でしょう。
この判断の基準というのは難しいですね。ストライクゾーンやサッカーでもファウルの基準が審判によって微妙に異なるように。
でも曖昧だからこそ,高野連が前もって花巻東側に確認したのは悪いことでは無いと思います。
その場でいきなりアウトにしたらもっと混乱していたでしょうしね。
問題は,ああいうプレーを容認しておきながら規則を知らなかった花巻東側にもあると思います。
1~9番まで全員というのは極端だとしても2,7~9番あたりに千葉君のような選手を3人ぐらい置けばどうなるかという話はどうでしょうか。
野球私立のように選手層が厚くて,同じようなレベルのピッチャーを3人4人と用意できる学校は良いですが,田舎の公立のように一人のエースで勝ち上がっていかないといけないチームには,ますます不利になります。
皮肉にも,今回千葉君にかき回された上,花巻東に負けた鳴門は正にそういうチームでした。
だから私は,色んなチームに勝ち上がる可能性を残すという点でも,試合のスピードアップという点からもそういう規則は必要だと思います。
それにしても,です。千葉君は技術的には優れたプレーヤーだと思いますし,対戦相手にああいう選手がいれば極めて鬱陶しいでしょう。そういうプレーヤーを擁し,あるいはそういうプレーを容認して勝ち上がってきた訳ですから,花巻東側にはもう少しやりようがあったのではないかと思います。
サイン盗みの疑いにしても試合後に監督がトボけたり,部長が「サイン盗んでたらもっと打てる」と言ったりね。
カットでピッチャーに何十球も投げさせるのは技術だとしても,ガッツポーズをして吠えながら一塁に行くのは,決して見てて気分の良いものではなかったです。
特に東北勢は近年レベルが上がって,もういつ深紅の大優勝旗に手が届いてもおかしくない状況だけに,マナーや相手に対する敬意は忘れてほしくないなと思います。
あくまで高校野球は教育の一環なのですから(少なくとも建前上は)
あんまり大勢の大人が,地方の一高校生の善悪を議論するのはどうかと思い(肯定しようが否定しようが結局騒動を大きくしている点では同じだからね)当ブログでも敢えて触れないでおこうと思っていました。
でも,喧噪が大きくなるにつれ「それって論点がおかしくね?」と思える事が増えてきたので,少し考えを纏めてみようと思います。
まず問題になっている高校野球特別規則について
17.バントの定義
バントとは、バットをスイングしないで、内野をゆるく転がるように意識的にミートした打球である。自分の好む投球を待つために、打者が意識的にファウルにするような、いわゆる“カット打法”は、そのときの打者の動作(バットをスイングしたか否か)により、審判員がバントと判断する場合もある。
(規則6.05(d))
次に一連の流れをおさらいしておくと(私の知りうる限りの情報に基づいて)
Ⅰ.準々決勝の鳴門-花巻東戦のあと,高野連が花巻東側に「千葉君の打法が規則に反する恐れがある」旨の確認をした
Ⅱ.花巻東の監督及び部長はこの規則について知らなかった
Ⅲ.高野連は次戦以降で「審判団の判断如何でスリーバント失敗と同じ扱いになる可能性がある」と説明した
Ⅳ.準決勝の延岡学園戦で千葉君はそれまでとは異なり,淡泊な凡退を繰り返した
Ⅴ.試合後千葉君は「最後まで自分の野球を貫けなかった。ファールで粘って出塁することが自分の役割だったのに…」と号泣
同じ鳴門戦で発覚したサイン盗みの疑いも相まって,千葉君の個人攻撃のような様相が強まってしまったのは,気の毒だったと思います。
これに対し千葉君擁護派の主な言い分は,カットは誰にでも出来る技術じゃないとか,千葉君は身体が小さいハンデを乗り越えて頑張ってきたのに…等が目につきます。
でもですよ,ここで問題になっているのは「あの打法が規則に則しているかどうか」であって,技術の巧拙や努力の程度の問題では無いはずです。
努力の程度にしたって,甲子園に出てきて勝ち進んでいくようなチームの選手たちはみんな努力してますよ。千葉君だけが特別ではないと思います。それをどういう形で発揮するかの違いはありますが。
まして「彼は身体が小さいから人一倍努力しているんだろう」という先入観があるとすれば,それは立派な逆差別だと思いますけどね。
本来議論するべきは,「じゃあ正当なスイングかどうかはどういう基準で判断するのか」「何のために規則が存在するのか」といった点でしょう。
この判断の基準というのは難しいですね。ストライクゾーンやサッカーでもファウルの基準が審判によって微妙に異なるように。
でも曖昧だからこそ,高野連が前もって花巻東側に確認したのは悪いことでは無いと思います。
その場でいきなりアウトにしたらもっと混乱していたでしょうしね。
問題は,ああいうプレーを容認しておきながら規則を知らなかった花巻東側にもあると思います。
1~9番まで全員というのは極端だとしても2,7~9番あたりに千葉君のような選手を3人ぐらい置けばどうなるかという話はどうでしょうか。
野球私立のように選手層が厚くて,同じようなレベルのピッチャーを3人4人と用意できる学校は良いですが,田舎の公立のように一人のエースで勝ち上がっていかないといけないチームには,ますます不利になります。
皮肉にも,今回千葉君にかき回された上,花巻東に負けた鳴門は正にそういうチームでした。
だから私は,色んなチームに勝ち上がる可能性を残すという点でも,試合のスピードアップという点からもそういう規則は必要だと思います。
それにしても,です。千葉君は技術的には優れたプレーヤーだと思いますし,対戦相手にああいう選手がいれば極めて鬱陶しいでしょう。そういうプレーヤーを擁し,あるいはそういうプレーを容認して勝ち上がってきた訳ですから,花巻東側にはもう少しやりようがあったのではないかと思います。
サイン盗みの疑いにしても試合後に監督がトボけたり,部長が「サイン盗んでたらもっと打てる」と言ったりね。
カットでピッチャーに何十球も投げさせるのは技術だとしても,ガッツポーズをして吠えながら一塁に行くのは,決して見てて気分の良いものではなかったです。
特に東北勢は近年レベルが上がって,もういつ深紅の大優勝旗に手が届いてもおかしくない状況だけに,マナーや相手に対する敬意は忘れてほしくないなと思います。
あくまで高校野球は教育の一環なのですから(少なくとも建前上は)
by sei1ss
| 2013-08-28 19:00
| 高校野球